グリーンウォーター

グリーンウォーター(Green Water)とは?

(特に屋外など日光がよくあたる場所でメダカを飼育していると、その飼育水が緑色になること。メダカや金魚飼育における、その水の呼び名)

まず、メダカ飼育をしていれば一度は耳にする、あまりにも有名な水(飼育環境水)呼称。メダカ飼育において多くを語らずともその奥深く熟れた感じで、どことなく美しく?、なんだか安心してみれる水。時にグリーンウォーターで飼うとメダカが元気に育つという話を良く聞く水。人によってはあるいは飼育する魚種によってはあまり見栄えがせず、毛嫌いされ、すぐに水換えをしなきゃぁと嫌悪感を持ってしまう水。このあまりにも身近で誰でもその色と光景を知っているグリーンウォーターでありますが、メダカ飼育において果たしてどういう位置づけで理解されているのでしょうか?またどういう役割として見て行けば良いのでしょうか?また良い水だから?どうしても必要なものなのだうか?などについてめ組。が単純に思うことを少し書いてみます。

注)本稿で述べる中で全てが正しい表現では無いかも知れませんが、あくまでもメダカ飼育がもっと楽しく思える、知ってて損は無い程度で、また初心者の方でも何かの参考になればと思っておりますので、その程度でご理解頂き、何か不備が有りましたらご了承ください。

まず、このグリーンウォーター、出だしの小難しい話題ふりの割には(;^ω^A 作り方は至って簡単なのでございます。屋外や、室内でも窓際など日中日光がしっかりあたる場所で、メダカなどの水生生物を飼育しておりますと自然にこのグリーンウォーターは出来てしまうのです。良く言えば自然の恵み水。変に言えば放置水てとこでしょうかね。

それではそのグリーンウォーターが出来る仕組みとは?どうなっているのでしょうか?これを簡単に申しますと、まず、メダカなどの生体を投じた水では、当然、メダカなどの糞尿が水中に蓄積してきます。その飼育水が濾過バクテリア等々の存在があるないに関わらず、アンモニア態窒素などの残留は大なり小なりありますが、それらの分解で発生した窒素に直射日光を照射していると、最初はうっすら緑でそれが徐々に濃いグリーンに変化していきます。ちなみに水温はやはり日光照射に伴ってやや高めであることがそのスピードも早いようです。また水草や浮き草などを同時に入れておくと逆にそれらが窒素などを吸収してしまい、グリーンウォーター化しにくい事も有るようです。

こうして見た目でグリーン化していくという理由には、水中で幾多の微生物や植物性プランクトンが発生して来ていることが大きな理由です。これらの発生する微生物(細菌類)で良く知られるのが藻類で、中でも緑藻(セネデスムス・ディクチオスヘリウム)、珪藻(ヒメマルケイソウ・ハリケイソウ)藍藻(アオコ  ミクロキステス・オシラトリア・フォルミジウム)などに分類されます。これら藻類はいつもオールキャストで存在している訳ではなく、年間を通してその季節ごとに水温など様々な水質変化に対応し、それぞれの種の生存比率を変え、共存しあっているようです。これらの水の表情は、なにもメダカ飼育環境のみに起こる現象ではなく、金魚や鯉の飼育でも普通に見られることです。また、自然界の水辺で特に流れの無い沼や池の表情のそれにも良く似ているのです。そうした意味で捉えますと、メダカなどは元来自然下に生きる生物ですので、グリーンウォーター環境は一つの人工飼育下でありながら自然環境下に最も近い環境であると言えるのかもしれません。それを思いますとグリーンウォーターはなんだか良い水なのだろうかと自然に思えて来ますよね。

グリーンウォーターはよく自然環境に似た状況であると考えた時に、具体的にメダカの育成にどんな影響を持っているのだろうかを考えます。まず、その視野的観点からは、クリア(澄みきった透明の)ウォーターに比べて、マッディ(濁った)で色づいた状態ですので、常に外敵から身を守ることが遺伝子に習性ついているメダカにとっては、その深部に沈むことで身を隠せるというメリットがあると思います。また紫外線などの外光による影響も自己調整しているのかもしれません。これらはストレスを感じずに成長する上では良い環境だと思えます。

次にこの水自体を給餌観点として、その栄養分を考えますと、クリアウォーターに比べると何か栄養価の高いものが多く潜んでいそうに思えます。それは前途に申し上げましたように、藻類などの存在に注目しますと。メダカは稚魚のステージでは非常に、口が小さく、自然界での給餌もどんなものを食べているのか?を考えた際にこの藻類(微生物)プランクトンなどを食べることを予測するのが自然です。人工飼育下であるなら専用のパウダーでも与える事は出来ますが、自然下ではそういった状況はありませんから、この藻類などの微生物の存在は大きいですよね。ここで少し話がそれますが、グリーンウォーターが如何に良い水?といえども、そのグリーンの濃度が濃くなってきすぎるとこれもまた考えもので、メダカに害がないとは言いきれない状態になり得ます。こうしたものが全て良い状況を作りだすものでもないようです。例え微生物であろうとも水中に生物が高密度の密集してくるとそれだけ溶存酸素も少なくなりますし、環境は次第に嫌気状態となってしまい、微生物より大きな多くの酸素を必要とする生物は真っ先にその影響を受ける事になります。グリーンウォーター(濃度)もほどほどが良いことでしょう。そういった意味では、このグリーンウォーターのコンディションをバランス良く保ってくれる生物もいます。ミジンコなどのより大きな動物性プランクトンが良い例で、グリーンウォーターにミジンコを投じるとみるみるうちにミジンコが微生物を食べ水の透明度が回復してゆきます。水中での非常にミクロな世界で食物連鎖を起こっているんですね。そのミジンコもメダカ達にとっては恰好の動物性プランクトンとしての栄養価をもたらしてくれます。ミジンコで言えば、特に夏期には体内のヘモグロビンの分解で赤くなったミジンコは赤系メダカに良いとも言われていますからね(←これは確証のない余談です)話は戻りますが、めだかの稚魚がこのグリーンウォーターの微生物などを食べて成長しているのは事実有るとして、今度は成魚になるにつれてどうなのでしょうか?藻類を食したミジンコを食べることは想像がつきますが、後は藻類のように小さい微生物などは、いろいろな大型の餌に混じって飲み込んでいるのか?あるいは藻類のコロニーを食べているのか?というところまでの想像しかできません。ただ、なくてはならないものかといえば必ずしもそうでもなく、バランスよく共存している分には良い食べ物であったり栄養素であることは事実としてあるのだと思います。私がこのグリーンウォーターを『みどりのゆりかご』と称する所以です。

我々がメダカを飼育している上で、あるいは商品価値としてみていく上で、メダカの体色を気にする場面がよくあります。よくグリーンウォーターで飼育していると色が揚がった。楊貴妃が色濃くなるということを聞きます。実際、め組。でもその効果は実感しております。よくその恩恵を授かっていると思います。ただそれが何故?色が揚がるという現象がおこるのでしょうか?あるいはそう感じるのでしょうか?

ひとつは前途に申し上げたような、微生物を食べることにより、色が揚がるという見方があります。その微生物も藍藻などのミクロキステスやオシラトリアといった種類は生物の色素を掌るカロチノイド色素のうちのゼアキサンチンという成分を多く含んでいます。当然、それらが浮遊する水中にメダカが生息していれば、体内にゼアキサンチンを取り入れていると思えるのは自然です。ちなみにこのゼアキサンチンはよく金魚や鯉、あるいは食用ベースのマスの養殖などの色揚げという目的でよく耳にする成分です。このゼアキサンチンは摂取後、体内でアスタキサンチンに代謝変換され、このアスタキサンチンはカロテノイドの一種で、キサントフィル類で色自体は赤色です。なので、金魚や鯉、マス、鯛、あるいは特定の熱帯魚などの魚類もこの赤色素を多く取り入れることにより容易に色が揚がるとされます。め組。もよくメダカの色揚げ?に関していろいろな人から耳にします。ただこれらのアスタキサンチンの存在は前途の種などには生理学根拠の元で有効とされているのは常識ですが、それらがその延長線上で安直な理解の元でメダカの「それ」に適応し、あたかも魔法の薬のような強力な効果を発揮するかどうかを考えますと、め組。的には少々疑問を持っています。(;^ω^A ただそういったことを、いろいろ妄想したりするレベルでは、なんだか夢があって楽しいのかもしれませんよね。

ところで、アスタキサンチンといえば、そもそも色揚げ効果のことばかりに気をとられたりもしますが、その凄い栄養素には魅力を感じますよね。サケの身が何故?あそこまで真紅に染まるのか?それはエビやカニなどに含まれるアスタキサンチンを大量摂取代謝しているからというのは多くの人が知る範囲でしょう。サケは海から産卵のために大海からふるさとの川の上流を求め、どんな障害があろうと、へこたれずにずんずんつき進みます。決死の姿勢で激流を遡るのです。こうした流れに逆らって進む行為は大変なスタミナとパワーが必要となりますが、同時にサケの体内は過激な運動で疲労と強烈な紫外線から大量の活性酸素が発生します。そんな状態になった時のサケは筋肉層に溜め込んだアスタキサンチンのパワーを使って上流へ向かい川を上っていくのです。海でアスタキサンチンを蓄えられなかったサケは途中で息絶えてしまいます。このサケのパワーの源であるアスタキサンチンは他のカロテノイドの成分よりも強い抗酸化力を持つ赤い色素で、そのパワーは「ビタミンEの1000倍」といわれています。その力は紫外線による活性酸素の除去や生体のコンディション維持にも多いに役立つ成分のようです。そういった意味でグリーンウォーター→藻類の存在→アスタキサンチン←メダカ元気という一節の見方はあると思います。メダカにとってのスタミナ源、パワーの源など、産卵など体力を消耗する行為などにおいても、このグリーンウォーター環境は何か目に見えないところで良い影響を持っているのかもしれませんね。

もちろん、今回着目した点以外にもこのグリーンウォーターにある栄養素や他成分はもっともっとたくさん存在すると思います。また全てがメダカにとって良い栄養素ばかりが詰まっているとも言えません。それらはメダカ飼育における環境水中の出来事でいえば、グリーンウォーターも、あるいは濾過機能がしっかりした設備にあるクリアウォーターでも、いろいろな飼育スタイルとそこに環境水がある訳ですから、グリーンウォーターもそのような位置づけと魅力ある見方で扱うことになんら問題は無く、まだまだいろいろ試してみると、面白い発見があるかもしれませんよね。この辺で少し強引にまとめてしまいましたが、最後にどうしても申し上げたいのは、め組。は個人的にグリーンウォーター飼育が大好きなのです。ですから若干ひいき目で書いておりますから、ご了承下さいネ!(*^▽^*)

 

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