本稿では、メダカの色を考える、そしてその色の元となっている組織はいかなるもので構成されているものなのか?を簡単にそして解りやすく説明出来たらと思い、まずはメダカの色を語る上では外せない『色素胞』というものに着目し、まとめてみました。メダカ飼育を楽しむ上で、改良メダカをはじめたくさんの色彩を持ったメダカが世に出回っています。今よりもっと美しいメダカの色を作出したい!メダカにおける色表現はどこまで可能なのか?いろいろ 考えたり想像すればきりがありません。そんな夢膨らむメダカ飼育をもっと楽しむために今回の 記事がよいスパイスになればと思っています。尚、本稿をまとめることにあたって多くの文献や記事などを参考に自分なりの理解で集約してみましたが、中には??な部分もあるかと思いますが、何卒ご寛容にお楽しみくださいませ。

2012,03,30

 

このように色素胞というものを少しずつでも理解すると、現在の改良品種メダカにおける、様々な美しい色メダカの素因にこの色素胞というものの存在は大きく影響しているものと認識します。唐突ではあるが、仮に朱赤メダカの赤の濃度や鮮明さを追求するという品評カテゴリーがあるならば、まずはメダカの持ち備える自身の色素濃度をあげていくことを見込む。その上で『黄色素胞』の存在、あるいはカロチノイドという言葉が一番に思い浮ぶはずだ。これは前途の色素胞の理解を深めるに当たっては当然の流れであろう。

単純に考えれば、とても赤色濃度が高く美しい朱赤メダカはこの黄色素胞を密に多く持ち、カロチン濃度も高いと理解するのが普通かもしれない。当然、前途の条件は必ずしもそれだけに特化するものでもなく、その多くは黒色素胞や虹色素胞などの真皮上での積層関係、や血液の透過による赤みの有る、見え方、交感神経やホルモンなど様々な条件がうまく揃うことも重要であろう。更にその変化は遺伝的なものもあり、先天的なものとあるいはその反対のものもあるはずだ。一口に言えばメダカの色を構成するものは非常に多くの素因によって構成されているのだ。

改良メダカにおいてとても赤が濃いメダカを人為的に作出する、あるいは投餌によってその効果を示唆したい場合などは、当然、色素濃度を掌るカロチノイドを含有する物質の模索と投与を迷わず検討する。その際に思うのはやはり黄色素の濃度上昇が見込めるルナキサンチン、ルテインなどのカロチノイド成分の投与などをめ組。的には考える。一方、魚類全般における『赤』の色揚げや色揚げ剤の投与と言えばアスタキサンチンなどカロチノイド成分を一番に思うのは目下常識であろう。それらは俗に外観美や肉色などで商品価値を左右する養殖のマスや鯛、あるいは金魚や鯉などの色揚げ効果という点で非常に効果的であるとされるのも有名である。 またカロチノイドは魚類に留まらず、カロチノイドに色素依存する生物の色素に密接に関与している。 それでは、メダカも魚類である。前途の例のようにアスタキサンチンなどの赤色素濃度をあげる、またはそれら由来のアスタキサンチンなどの成分の投与によって、メダカ(特に朱赤系)に大きな効果をもたらすのであろうか?に興味を持つ。

しかしながら、め組。的にはそれらに昔から疑問を持っている。なぜなら?メダカにはアスタキサンチンなどのカロチノイドが元である赤色素、そして赤色素の含有率をあげることで顕著に反応するであろう(?)『赤色素胞』を元来、持っていないはずだからだ。 しかしながら、アスタキサンチンなどによるメダカに関する『色揚げ行為』やメダカに関する『色揚げ剤』に関する風評や話題はいろいろなところであるようなので、一概には否定出来ないと言っておきましょう。 ちなみにめ組。的に前途の流れで仮に『色揚げ』を期待(対策)を実施するのであれば、アスタキサンチンなどの赤色素系ではなく、黄色素胞に含まれるカロチノイドである、ルナキサンチンやルテインなど黄色素を多く投与した方が効果的かもしれません。 赤だから赤?、マスや鯛などのアスタキサンチン色揚げ物質の転用などという理解だけでは実施する前から理論的になかなか有用性を感じないのが正直な感想です。

ただ前途に申したように現実的にはこのアスタキサンチンなどで色揚が上がる?という記事や?噂はあるようで、おそらくそれらは実際に実施された方々、もしくはそれを単純に期待している方々による何かの願望?程度と理解しているくらいである。 一般的にメダカの色揚げをする、あるいは色揚げ剤の投与をするという話題の背景にはただこうした結果と立証を伴わない単なる予想?や疑似妄想の中で取り交わされてる実体もごく一部であるようなので全てを鵜呑みにすることも抵抗を感じてしまう。 時にそれは『色揚げ剤を使用している』『色揚げをしている』『してはならないことを、、』というあたかも有罪批判する動きにもこうした背景は有効活用されている一面もあるようだが、め組。的には申し上げればあまり興味がわかないのが正直なところである。

ただ誰にも迷惑かけずにあぁでもないこうでもないを言ったりこっそり試してみたりは純粋に楽しいかもしれない。 め組。でも一度、お客様のお問い合せの中で『この店は色揚げ剤を使っていますか?』というお声を頂いたことがあります。そんな時は、め組。は凄く困ってしまいます。なぜなら、メダカに適用する『色揚げ剤』というものの確かな存在すら知らないからである。逆にメダカの色揚げ剤というものがあるのであれば、勉強のためにちょっと使ってみたい程ですから(←これって悪いことですか?笑)なので、お客様には『そんなのあるのですか?どこで伺ったんですか?』『そんなのあったら欲しいですよね!』って逆に伺ったほどで す。メダカに効果がある『色揚げ剤』なんだか夢があって面白いじゃぁないですか?!お客様と笑いながらそんなお話をしたりするんです。

また、こうした一連の『色揚げ剤』のお話でやはり共通している言葉で多いのが、「赤系の色揚げ」「アスタキサンチン」や「マスなどの養殖用餌」などがもっぱら多いことも特筆しておきたいです。まずはアスタキサンチンなどの成分に関しては今メダカの専用フードなどで販売されている飼料の中でどれだけ含有されているのでしょうか?おそらく?というより確かにそのほとんどが少なからず含有されていると思います。解り易く申し上げれば、餌を軽く手にとって臭うと海老類などの甲殻類の匂いがするものが多いです。これが一目瞭然というか一臭瞭然と申しましょうか?海老と言えば、甲殻類。アスタキサンチン成分の『アスタ』はザリガニのアスタクス属から最初に発見されたことに由来しています。以来甲殻類などの色素成分 に代表されるようにアスタキサンチンと呼ばれるようになったのです。

 

少し話が反れましたが、いわゆる何が申したいかと言いますと『一部でアスタキサンチンなどの赤系色素による、あるいはそれに由来するカロチノイドによって色揚げをしている』という行為が、仮に色揚げ効果を持って、色揚げ剤ではなく、『色揚げ罪(笑)』などと言う批評基準があるのであれば、一概にそれらを含まない投餌をするという行為が『正当な?』メダカ飼育となるようなのですが、、。またこのようなことが提唱されるとなると、アスタキサンチン、あるいはそれに付随した色素成分を一切含まない投餌こそがメダカ飼育に適する。あるいは鑑賞メダカにおける体色管理の正しいあり方という風になります。 こうなると本当に凄くメダカ飼育というものが難しくなっていくように思えます。

これらの定義で申しますと、その判断基準もあやふやなまま、色揚げを批判するどころか、メダカの餌の販売も出来なくなるのではないかなぁ?とも思います。 極論で申しますと、現在多く使用されているメダカの餌も、こうした一部の特有の目線を持って判断するのであれば、限りなく多くが色揚げ剤を含んだ餌になる?のでしょうか?(苦笑) 仮に雲を掴むような色揚げ罪の実体?を批判視される部分があるとしたら?それに相反し、そのお手元には海老類由来の独特のエビの匂い漂うメダカの餌を使用されているのかもしれません??というなんだか矛盾した実体があるかもしれません。ただこれも不確定要素の中での一つの評論でしかないので、独り言の範囲でご理解頂ければ幸いです。 とりあえず、め組。のオリジナルフードメグミックスなどはエビの匂いプンプンです。

なので、め組。に関しましては、こうした観点でものを申しますと、色揚げを期待する餌という意味ではメグミックスは堂々と色揚げを期待出来る要素を持った餌であると見て頂いても結構なのです。 ただ、ここで申します色揚げとアスタキサンチンに関してのみの意味合いで表現すればの話でございますが。色揚げを期待するものはこれらのみではないですから。 また、メダカの餌にエビ類の匂いがするのは珍しくない、『多少』は甲殻類由来のアスタキサンチンなどによる色揚げはあるであろうというお話も一方であるかもしれません。ただそれらを『過剰』に投与して色揚げしていることが良くない。というお話もあるかもしれません。ここで問題なのはその『多少』という素晴らしく曖昧な表現です。この『多少』というのは時と場合によって非常に都合良く理解を変貌させるものです。

またその『過剰に』という表現も何を基準に過剰と言えるのかがまったく不明な訳ですね。 しかしながら、こうしてメダカの色素胞に学びながら『色揚げ』という発想に至りましたが、そもそも観賞業界における『色揚げ』という行為とその位置づけと知識は、金魚や鯉やディスカスなどに習えばそんなに 偏見を持つ物でもないのです。逆に飛躍的に発達している分野程こうした知識は正しく充実しているのです。め組。も今まで多くの熱帯魚や金魚を飼育してきた経験を持っておりますので『色揚げ』という言葉自体は耳慣れしています。そのような受け止め方でも、今後メダカに対する色揚げを考えるという発想は、逆にしっかりとした生理学的な知識と技術向上に役立てる意味としても冷静に見て行き、今まで以上に十分に研究、勉強しておきたいものです。

鑑賞魚としての改良メダカの地位発展をもっと高いものとするためにはこういった事に、いつまでも拒絶反応するのではなく、逆に一歩前進の気持を持って積極的に目を向け、いろいろな面に活かして行くことがまたメダカ文化の発展の道筋であるとめ組。は勝手に思っています。 なので、め組。はあえてここで公言しておきますね。メダカの色揚げ。一つの手法としてあって良いではないですか!正しい方法や知識は金魚や鯉に比べてはまだまだなのかもしれませんが『追求する』『試す』『挑戦』する価値はありますよね。

またこれは余談ですが、よくお客様からお問い合せを頂くご質問で『虹色細胞(にじいろさいぼう)』という用語とめ組。の記事に出てくる『虹色素胞(にじいろそぼう)』というのは同一の意味なのですか?変に混乱しますが?!というお問い合せを頂くことがあります。 め組。的にはその違いは明白に解りませんが試しにネットなどで『虹色細胞』というキーワード検索をしましたところ、その上位は圧倒的にメダカ関連のページが出るといった面白い傾向にあるように思えます。それが何故なのか?その経緯も解りませんが言葉や漢字も類似しているので、おそらく同じ枠組みをさしている?のかもしれません。

ただ明白な違い?に関しては、よく解りません。 ただめ組。について申し上げれば、色素胞をより詳しく理解するために、また学術書などにも基づき『虹色素胞』として表現しております。

2012,03,30